伊藤 やよいこ医師
プロフィール
広島大学医学部卒業。総合診療内科勤務を経て、美容医療の第一線で活躍している先生方に師事。美容の知見やスキルを習得したのち、2023年YAYOI CLINIC(ヤヨイクリニック)院長に就任。得意施術はボトックスやヒアルロン酸注入、カスタマイズたるみ治療など。丁寧な診察と痛みに配慮したナチュラルな施術がモットー。

ヒアルロン酸注射を打ち続けるとどうなるのでしょう。ヒアルロン酸注入は、シワが気になり始めた方に選ばれやすい美容医療の施術の1つです。しかし、ヒアルロン酸製剤を打ち続けるとほうれい線が濃くなるという情報を聞いたり、打ちすぎて失敗した画像を目にしたりしたことがある方もいるでしょう。今回は、ヒアルロン酸注射の正しい知識と、継続的に行う場合の注意点についてご紹介。施術を検討している方は、参考にしてください。
ヒアルロン酸注入の基礎知識
ヒアルロン酸注射を打ち続けるとどうなるか、という話の前に、そもそもヒアルロン酸注入がどのような施術なのか確認しておきましょう。
■ヒアルロン酸とは何か:美容医療での役割
ヒアルロン酸は、皮膚や筋肉、軟骨、脳など、人間の体内に自然に存在する物質です。ヒアルロン酸の大きな特徴の1つは保水力の高さ。1g当たり約6Lの水分を保持できる性質があるため、皮膚に弾力性やうるおいを与える効果があります。しかし、体内のヒアルロン酸含有量は年齢とともに減少していきます。そうすると、肌はハリが低下しシワやたるみが目立つようになるのです。
そんな肌のシワ改善やうるおいアップに作用するのが、ヒアルロン酸製剤です。ヒアルロン酸製剤は、体内にもともと存在する成分を用いているため、アレルギー反応を起こしにくいといわれています。また、施術時間が短く、即効性があるのもメリットです。人によって差が生じるものの、ダウンタイムもほとんどないことから、忙しい方にも選ばれやすい施術といえます。
■ヒアルロン酸注射による効果と変化
ヒアルロン酸注入の効果は、施術直後から現れ、体内の水分と反応しながら少しずつなじんでいき、数週間から1ヶ月程度かけて自然な形状に仕上がっていきます。注入部位はふっくらとして、肌のハリや弾力が増すことで、若々しい印象に変化。一般的に、持続期間は半年から2年程度で、代謝や吸収など、体の仕組みにより徐々にヒアルロン酸製剤の威力は薄れていきます。
しかし、ヒアルロン酸注入による効果は、これだけではありません。ヒアルロン酸注入には、コラーゲンの生成を促進する作用があるため、ヒアルロン酸製剤が吸収された後も、肌のハリやシワ・たるみの改善といった長期的な働きかけが期待できます。
■年齢や肌質による効果と変化の違い
ヒアルロン酸注入の効果は、年齢や肌質よっても異なります。一般的には、年齢が若いほうが体内のヒアルロン酸量が多く、肌のハリや弾力が比較的保たれています。そのため、少量でも自然な仕上がりが期待できるでしょう。一方、年齢を重ねた方は、骨が痩せたり肌を支える靭帯が緩んだりしているため、注入量を増やす場合があります。
また、乾燥肌の方にヒアルロン酸注入をすると、水分保持効果によるうるおいアップが期待できます。ただし、乾燥はヒアルロン酸の分解速度を速めるため、施術後は丁寧な保湿が大切です。施術を受けた肌は、できるだけヒアルロン酸製剤の効果を持続させるために、保湿クリームや美容液を使用して対策してください。
■注入部位と期待される効果
ヒアルロン酸注入は、顔のさまざまな部位に対して効果的な施術です。
【ヒアルロン酸製剤の注入部位と効果】
部位 | 効果 |
頬 | フェイスラインを整える
引き上げ効果も期待できる |
ほうれい線 | シワを目立ちにくくして、若々しい印象になる |
涙袋 | 目の下のくぼみを解消する
目が大きく見えるようになり、かわいらしい印象になる |
額・眉間 | シワを目立ちにくくして、顔の印象をやわらかくさせられる
若々しさもアップする |
唇 | 厚みを持たせられる、女性らしさがアップする |
顎 | 顎が丸い場合は、顎先へ注入することでシャープな形状に整える
顎が割れている場合は、顎の割れ目に注入し、きれいなラインをつくれる |
鼻 | 鼻筋のラインがシャープになり、小顔効果が生まれる
鼻を高くすることもできる |
ヒアルロン酸注入は、肌の保湿性や弾力性もアップするため、美肌効果も期待できるでしょう。
ヒアルロン酸製剤の吸収の仕組みと持続期間
ヒアルロン酸製剤の効果の持続期間は、半年から2年程度です。それは、ヒアルロニダーゼという酵素の働きによりヒアルロン酸が分解・吸収されて、効果が薄れていくためです。分解や吸収のされ方は生活習慣や体質による違いがあるものの、ヒアルロニダーゼの分泌により治療効果は永久的に持続するわけではありません。
ヒアルロン酸製剤が吸収されていくと、肌は少しずつヒアルロン酸注入前の状態に戻ってしまいます。シワやたるみが軽減した状態をキープするためには、定期的にヒアルロン酸注入を行うことが望ましいでしょう。
ヒアルロン酸注射を打ち続けるとどうなるの?
ヒアルロン酸注入で肌のシワやたるみなどを改善したいものの、打ち続けると不安になる方もいるかもしれません。しかし、ヒアルロン酸は人の体内に存在する成分なので、体に大きな影響はありません。また前述したように、酵素により分解されることから、ほとんど体内に残留しないため、リスクは少ないと考えられます。ただし、注入量が間違っていたり施術間隔が短すぎたりするなど、打ちすぎるとリスクを伴うことがあります。継続的な治療を行う際には、リスクを把握し、信頼できる医師のもとで施術を受けましょう。
継続してヒアルロン酸注入する際のリスク
ヒアルロン酸注射を打ち続けると起こりうるリスクは、以下のようなものがあります。
■不自然な仕上がりになる
ヒアルロン酸を「やめた方がいい」となるまで打ち続けると、不自然な膨らみを生じさせたり、固くなったりする他、左右非対称になることがあります。また、表情筋の動きを制限してしまうリスクもあるでしょう。自然な仕上がりを目指すためには、適切な量と間隔での注入が重要です。
■アレルギーや副作用のリスクがあがる
ヒアルロン酸注入を継続する際には、アレルギーや副作用を起こす可能性も考慮することが重要です。ダウンタイムが少ないとはいえ、術後には腫れや赤み、かゆみなどの症状が見られる方も。これらは一時的なものが多いですが、血管を圧迫することによる血流障害や血管塞栓による失明などの重篤なリスクも完全には否定できません。注入量が増えれば、その分リスクも上がるため、適量を注入することや信頼できる医師に施術してもらうことが重要です。
■美的感覚を逸脱し必要量以上に注入したくなる
継続してヒアルロン酸を打ち続けると、ヒアルロン酸製剤を注入した状態に慣れてしまい、「もっと○○したい」という気持ちに拍車がかかります。結果的に、適量よりも多い量を注入したくなることも。さらに、自然な仕上がりを期待するよりも、極端に変化することを望むようになるケースもあります。ヒアルロン酸注入は量の多さを重視するのではなく、適量を適した期間に施術することを念頭に、医師のアドバイスをしっかりと聞きながら施術を受けましょう。
ヒアルロン酸注入をやめたらどうなる?
ヒアルロン酸注入を中止すると、効果は徐々に失われていきます。一方で、ヒアルロン酸製剤の効果は、半年から2年程度であるため、急激な肌の劣化は起こりにくいでしょう。ただし、ヒアルロン酸注射によって得られていたふっくら感がなくなると、物足りないと感じるかもしれません。また、ヒアルロン酸注入を受けている間に肌老化が進んでいる方は、施術開始前よりも老けた印象を持つ可能性もあるでしょう。
ヒアルロン酸注射をやめる際は、特別なケアは必要ありませんが、これらの違和感を少しでも緩和するためには、スキンケアの見直しや他の治療を検討することも大切です。ヒアルロン酸以外にも、肌のシワやたるみを改善してくれる治療はあるため、美容クリニックなどで相談してみるのも良いでしょう。
■おわりに
ヒアルロン酸注入は、シワやたるみ、ハリ不足といった症状に効果的な施術で、一般的には継続的に治療を行っても問題はありません。しかし、正しくない量のヒアルロン酸製剤を打ち続けると、顔のバランスが崩れてしまうことがあります。デメリットを防ぐためには、信頼できる美容クリニックを選ぶことがポイントです。まずは実績のあるクリニックでカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
広島の美容皮膚科・美容内科・美容外科・アートメイク ヤヨイクリニック(YAYOI CLINIC)では、お肌、お身体、お顔のお悩み別に治療法をご紹介しています。
皆さまにより良い選択肢をご提案できますよう一人ひとりのお肌の状態を見極め、治療期間やご予算、ダウンタイムの許容範囲などご希望に合わせた治療方針を立案していく考えです。
お悩みのある方は、まずはカウンセリングにお越しください。
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【治療の内容】 ヒアルロン酸製剤の注入
【治療期間および回数】1回毎
【費用】1本 ¥79,800(+施術料 ¥22,000)※使用する本数には個人差があります。
【リスク・副作用等】アレルギー反応、疼痛、感染、修正位置のずれなど
【未承認医療機器・未承認医薬品等を用いた治療について】
・本治療には国内未承認の薬剤および薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、当クリニックの医師の判断のもと、個人輸入手続きを行ったものです。個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報は、下記をご参照ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・諸外国における安全性等に係る情報
-ジュビダームビスタ®シリーズ:「顔面の中等度から重度のシワや溝の修正」で国内薬事承認
・重大なリスク・副作用などが明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。