伊藤 やよいこ医師
プロフィール
広島大学医学部卒業。総合診療内科勤務を経て、美容医療の第一線で活躍している先生方に師事。美容の知見やスキルを習得したのち、2023年YAYOI CLINIC(ヤヨイクリニック)院長に就任。得意施術はボトックスやヒアルロン酸注入、カスタマイズたるみ治療など。丁寧な診察と痛みに配慮したナチュラルな施術がモットー。
ボトックスを脇に打つ“脇ボトックス”治療を検討中の方へ向けて、脇ボトックスがどのような症状に効果的か、メリットデメリットを解説します。脇ボトックスに関する疑問で多い「脇ボトックスでワキガは治せるか?」やダウンタイム、効果の持続性、副作用などについてもまとめました。現在のご自身のお悩みを解消するのに脇ボトックスが適しているか、判断するヒントになれば幸いです。
脇ボトックスとはどんな治療?
ボトックスといえば、額や眉間などの顔のパーツに打つイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。まずは脇ボトックスがどのような治療か理解しましょう。
そもそもボトックス注射とは?
ボトックス注射とは、ボツリヌス菌から毒素を抜いて加工した成分(ボツリヌストキシン)を、極細のハリで患部に注入する治療のこと。ボツリヌストキシンを医薬品として生成したものを“ボトックス”と呼ぶのです。
ボトックスには筋肉のこわばりをゆるめる働きがあります。ボトックスは、シワやたるみの予防・改善を目的に、額や眉間、口角など顔のパーツに注射することが多いです。また、小顔効果を目的にエラにボトックスを注射する“エラボトックス”や、肩こりに悩む方が肩周りの筋肉にボトックス注射する“肩ボトックス”もあります。
脇ボトックスとは?
脇ボトックスは、ボトックスを注射することで脇にある“エクリン汗腺”の働きを抑える治療です。脇の臭いは、汗と皮膚表面の雑菌が混ざり合うことで発生します。エクリン汗腺の機能が麻痺すると汗の分泌が大幅に減るため、雑菌が繁殖しづらくなり、脇の臭いの軽減につながるのです。
脇ボトックスは保険適用される?
原発性腋窩多汗症(特別な原因がないのに脇に大量の汗をかく病気)と診断された場合、脇ボトックスが保険適用になるケースもあります。保険適用の診療を行っているか、脇ボトックスの値段がいくらかは病院ごとに異なりますので各医療機関の公式サイトなどで確認が必要です。原発性腋窩多汗症の条件には当てはまらず、一般的な多汗症や脇汗、脇の臭いといったトラブルを解消したい場合は、自由診療となります。
YAYOI CLINICでは、脇の汗や臭いにお悩みの方に向けて自由診療での脇ボトックス治療を行っています。費用など詳細については以下のリンク先をご覧ください。
ボトックスを脇に注射してもワキガは治らない?
脇ボトックスを受けるか迷っている方の中には、ワキガでお悩みの方もいらっしゃるでしょう。残念ながら、脇ボトックスは多汗症には効果的ですが、ワキガを根本的に治すことはできません。
ワキガ臭の原因となるのは“アポクリン汗腺”。しかし脇ボトックスが作用するのは、前述のとおり“エクリン汗腺”であり、“アポクリン汗腺”の働きを抑える効能はないからです。脇ボトックス経験者の口コミで「せっかくお金を払ったのに効果が感じられなかった……」との声をときおり見かけるのはこのためでしょう。
もちろんエクリン汗腺から出る汗の量が減れば、アポクリン汗腺から出る汗の臭いの拡散を防ぐ効果も期待できます。しかし重度のワキガの場合、脇ボトックスの治療を行っても悪化こそしませんが、満足な効果が得られないケースもあることを理解しておきましょう。
脇ボトックスがおすすめな人の条件
脇ボトックスは以下の条件に当てはまる人におすすめです。
- 人に指摘されるほどではないけれど、自分の汗や臭いが気になる人
- 汗をかきやすい時期だけ汗の量を抑えたい人
- メスなどを使った外科的治療に抵抗がある人
ご自身のお悩みの程度に合わせて、脇ボトックスの施術を受けるかを検討してください。
ボトックスを脇に打つメリット
脇ボトックスのメリットは大きく分けて2つあります。
施術時間が短く体への負担が少ない
脇ボトックスの施術は、注射器を使いボトックスを患部に注入します。施術時間は5~10分ほど。メスを使わないため、傷痕は注射針の痕のみです。ボトックスと麻酔薬を混合したものを使用するので、始めはチクっとした刺激を感じますが、麻酔が効いてくると次第に痛みを感じにくくなります。大掛かりな麻酔を使った外科手術に比べると、施術時間が短く痛みが少ない点は、脇ボトックスの大きな魅力です。
ダウンタイムがほぼなく、仕事や日常生活への支障が少ない
脇ボトックスのダウンタイムは、数日程度です。軽い筋肉痛のような痛み、腫れを感じることもありますが、施術後すぐに日常生活に戻ることができます。長時間でなければ、施術当日から入浴も可能です。
ただしボトックス注射の主成分であるボツリヌストキシンは熱に弱く、高温にさらされると十分な効果が表れないことがあります。施術直後には、サウナや激しい運動、過度の飲酒、患部のマッサージなどを控えましょう。
ボトックスを脇に打つデメリット
脇ボトックスは施術時間が短いため手軽な印象を持たれがちですが、リスクやデメリットもしっかりと理解しておきましょう。
即効性がない
ボトックスを脇に打っても、当日には効果が出現しません。脇ボトックスの効能は、施術後2~3日してから徐々に表れます。はっきりと効果を実感するまでは数週間かかることも。確実に汗を抑えたい予定がある場合は日程にゆとりを持って治療を行ったほうがよいでしょう。
持続性がない
ボトックスを脇に打った際の効果は、4~6ヶ月ほどしか持ちません。効果が切れるとまた同じ症状が表れるため、症状を抑え続けるには薬剤の効能が失われるたびに治療を繰り返す必要があります。
副作用が出る可能性がある
ボトックス注射は、比較的副作用の少ない治療ではありますが、副作用のリスクがまったくないわけではありません。脇にボトックスを注射した後、以下のような副作用が起きる場合もあります。
- 皮膚の赤み、腫れ
- 筋肉痛
- 倦怠感
- 内出血
- 頭痛
ただし、これらの症状はあくまで一時的なもの。長くても1週間ほどで治まるケースがほとんどです。
ボトックスを脇に打ち続けると効果が出なくなる?
脇にボトックスを打ち続けると、まれに効果が出にくくなる可能性があります。これは、体内にボトックスへの抗体ができるためです。しかし、ボトックス注射を複数回受けた方、全員に抗体が生成されるわけではありません。
抗体のリスクを抑えるためには、むやみにボトックス注射を受けず、適切な注入量・施術頻度を守る必要があります。通年でボトックスを脇に打ち続けることにリスクを感じる場合は、汗をかきやすい暑い時期のみ施術を受けるのもよいでしょう。
ボトックスを脇に打つと体の他のところから汗が出る?
脇ボトックスを行った結果、体の他のところから汗が増えて支障が出ることはほとんどありません。多汗症治療として神経を遮断する手術を行うと、別の部位の汗が増加する“代償性発汗”が起こることもあります。一方で、脇ボトックスは代償性発汗のリスクがかなり低いため、外科的治療に比べると安心度の高い治療といえるでしょう。
おわりに
ボトックスを脇に打っても、重度のワキガを治すことはできません。しかし、脇ボトックスは施術時間が短く、ダウンタイムも少ないため、人には指摘されないけれど自分自身では脇の汗や臭いが心配な方、外科的治療に抵抗がある方にとっては魅力的な施術といえます。脇ボトックスが気になるけれどご自身のお悩みに合った治療か判断ができかねる場合は、ぜひ一度信頼のおけるクリニックへご相談ください。
広島の美容皮膚科・美容内科・美容外科・アートメイク YAYOI CLINIC(ヤヨイクリニック)では、お肌、お身体、お顔のお悩み別に治療法をご紹介しています。
皆さまにより良い選択肢をご提案できますよう一人ひとりのお肌の状態を見極め、治療期間やご予算、ダウンタイムの許容範囲などご希望に合わせた治療方針を立案していく考えです。
お悩みのある方は、まずはカウンセリングにお越しください。
【治療の内容】 ボツリヌストキシン製剤注入
【採用薬剤】
・ボトックスビスタ®(A型ボツリヌス毒素)
・NABOTA(A型ボツリヌストキシン)
【治療期間および回数】3~4ヶ月ごとに1回
【費用】
・ボトックスビスタ®(A型ボツリヌス毒素)
-全顔 1単位 ¥869(+施術料 ¥22,000)※使用する単位数には個人差があります。
・NABOTA(A型ボツリヌストキシン)
-全顔:1単位 ¥649(+施術料 ¥22,000)※使用する単位数には個人差があります。
-エラ:¥29,800~¥32,800
-マイクロボトックス(顔):¥34,800
-両脇:¥39,800
-ボトックスリフト:¥34,800
-ボトックスリフト+首:¥39,800
-肩:¥34,800~¥54,800
-両ふくらはぎ:¥39,800~¥49,800
【リスク・副作用等】頭痛、注射部位の痛み・腫れ、筋肉の部分的な脱力、赤み、あざ、無感覚、内出血など
【未承認医薬品等であることについて】
・ボトックスの治療には、国内未承認医薬品または薬事承認された使用目的とは異なる治療が含まれます。
・治療に用いる医薬品および医療機器は、当クリニックの医師の判断のもと、個人輸入手続きを行ったものです。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・薬事承認された薬剤を除き、同一成分や性能を有する他の国内承認医薬品はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
-ボトックスビスタ®は「65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情ジワ」で国内薬事承認
-NABOTAは米国FDA承認を取得
・重大なリスク・副作用などが明らかになっていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。